Tamago Studio Japan

絵本作家/イラストレーター。英語/日本語コーチ。化学物質過敏症のため自分のペースで作品作りをしています。家庭菜園、自然散策、ものづくりが好き。健康、食、教育、文学、詩、語学、家族の日常などの様々なことについて綴りながら、丁寧に生きることを心がけています。

風が運んでくれるもの

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夜、が吹くと

ふと、思い出す言葉があります。

 

"Wanna go out?"

 

    🍃🍃🍃

 

アメリカにいた頃、

私には、特別な友人がいました。

 

友人は

多くは語らないけれど

必要な時に大切なことを

そっと教えてくれる、

そんな人。

 

私が行き詰まった時は決まって

さりげなく手招きをしながら

こう言ってくれました。

 

"Wanna go out?"

(ちょっと風にあたらない?)

 

この一言が、

 

まるで不安の渦の中にいた私を

そっと救ってくれたのでした。

 

 

頬をさすような涼風

 

足早な夕暮れの公園

 

枯れゆく青葉の間で

静かにたたずむブランコ。

 

 

私はそのブランコに腰を掛け

唇を貝のように

ぎゅっと噛み締めました。

 

ぎこぎこ揺れるブランコと

風の音だけが響いていました。

 

 

長い沈黙のあと

友人が幼い頃の思い出を

穏やかに語り始めたとき

 

私は思わずつま先をピンと立てて

ブランコを止めました。

 

こんなに冷たい暗闇の中

こんなに温かい光明を得るとは。

 

それまでの私は、まるで

行き止まりしかない迷路の中

ぐるぐるまわっていました。

 

でも、気がついたとき

 

私の心はくるくるまわりながら

踊り出したくなるほどでした。

 

    🍃🍃🍃

 

これは5年以上も前の出来事でした。

 

でも今でも

この夜のことを覚えています。

 

私は、このコロナ禍で、

この特別な友人に会えなくなって

行き止まりに差し掛かったと感じるとき

 

風にゆられてゆれた夜のブランコ

たびたび思い出します。

 

この日、私は友人から

 

心が動揺して揺れ動くことは

決して悪くはないのだと

決して無駄ではないのだと

教えてもらった気がします。

 

会いたいけれど、会えない人。

会えないけれど、会いたい人。

 

ずっと一緒にいたい人。

 

 

(実はこれが昨日の詩の解説でした↑)

 

昨日の詩はこちらからどうぞ↓

 

 

 

皆さんは「風」が吹くとき

何を思い浮かべますか。

 

 

ここまでお読みいただきありがとうございました😊

たまご

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